4月26日

 およそ1月半前の6月初旬、函館から北海道入りした数日後に狩場山に来た。その時は登山口の手前で警察に止められ、「熊が出て、登山道付近をうろうろしているのでハンターが一斉に山に入っています。今は入山禁止です。」と言われ、その解除はハンター次第で見通しが立たないということだったので通過したのだった。あれから熊さんはどうなったのだろう。さすがに1ヶ月以上の閉鎖はないよなあと思い、羊蹄山下山後に再び立ち寄ってみた。

 まずは近隣の「道の駅  よってけ!島牧」で情報収集。しかし道の駅のスタッフも確かなことは言えないというので、役場に電話してみた。担当の方によれば「ハンターが山に入ったものの、結局熊を見つけて撃つことができず解散した。今は特に規制はないが、気をつけてください。途中に大きな雪渓が残っているので滑落しないように慎重に登って下さい。」とのこと。とにかく明日は天気も良い筈なので、登ろう。

 道の駅の中で、いかにも登山者風の夫婦と会った。どこかで見たような気がすると思ったら、余市岳で一緒だった夫婦だった。彼らも明日は狩場山に登る予定だという。熊も心配だし人数は多い方が安心なので、一緒に登る約束をした。寝るにはまだ早いので海沿いをブラブラして戻ったら、車中泊しそうな車がもう一台。お互いが車を出たタイミングで挨拶すると、彼も明日は狩場山の予定だという。こちらの事情を説明したらぜひ一緒にとなり、夫婦に紹介し、翌日は4人グループとなった。これは心強い。

4月27日

 約束通り、午前5時に車3台で出発。林道の一番奥にある新登山道の駐車場には30分ほどで到着した。(ここの林道は最後まで舗装道路)千走新道という名のコースは全長4キロ、往復で5時間と看板にある。5時半過ぎにスタートしたので、ゆっくり歩いても夕方になることはないだろう。(webサイトの「コンパス」では6時間となってる)

 スタートは自分が先頭。夫婦を間に挟み、最後尾をソロの男性という順序で歩く。駐車場には我々の車しかなく、本日最初に歩くのが自分という状況は、蜘蛛の巣がきらいなので避けたいものだ。でも、なんとなく成り行きで自分がリーダーっぽくなってしまったので、ここは我慢して露払いをする。(実際には、露はない)

 序盤はまずますの坂道で、木もうっそうとしており、ここは慎重にゆっくり歩く。少なくとも視界が悪い場所では熊との遭遇をイメージして団体で賑やかにしていた方が良い。時々景気づけに「はいっはいーーっ!」と叫んだのが、かなり受けたようだ。(これは昔、知床五湖のツアーでガイドさんが発していた声を真似たもの)

5合目まではこんな雰囲気

 午後7時、5合目を通過。そこから15分ほどで熊除けの鐘が見え、その先は視界が開ける。(鐘は下山時に、これから森林に入る時に鳴らすのだろう)しばらくは笹藪の中を進むが、それも程なくして草地に変わった。エゾカンゾウの花が綺麗に咲き、草の緑と空の青とのコントラストが美しい。シナノキンバイの黄色い花も盛りのようだ。

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森林を出るあたりに鐘
休憩

 草原をしばらく登ると、再び林に入る。よいしょと体を持ち上げるような場所もあるが、すぐに「南狩場」の看板が目に飛び込んでくる。ここからまた草原(所々に笹藪)に出ると、あとはほぼ平坦地。きれいなお花畑を見ながら山頂に到着した。時刻は9時45分。4時間かけたから比較的ゆっくりだった。山頂で30分ほどゆっくり休憩。電波が通ったので役場に電話をして「すでに登山道に雪はありません」と報告しておいた。

山頂部に池が
到着

 帰りは行きとは逆の順番で下山。今度は自分が最後尾になる。次はどこの山にいくかをそれぞれ話しながら、特にトラブルもなく下山した。時刻は12時35分。帰りは2時間半ほどで下りたことになる。

 駐車場で最後の挨拶をして、解散。夫婦はこの後、ニセイカウシュッペ山に行くという。自分より先輩だが元気なご夫婦だ。もう一人のソロの男性とは、林道途中の温泉に一緒に行き、そこでお別れした。2度と会うことはないかもしれない人々と1日を共に過ごすというのも、得難い体験である。

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